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友人から借りていた「青空のルーレット」(辻内智貴/光文社文庫)を読みました。
「多輝子ちゃん」と併録されている短編ですが、表題作の「青空のルーレット」の方が好みでした。 昭和50年代の東京で、高層ビルの窓拭きをしている若者達の物語。 (屋上から吊り下げられたゴンドラに乗って作業している、あの人達ですね。) 若者達は、ミュージシャンや漫画家、小説家など、それぞれに叶えたい夢があって、生活のために窓を拭いている。 大言壮語的に夢を語るでもなく、社会に対して卑屈になるでもなく。 仕事は仕事として真面目にこなし、夜はバンドの練習に集まる。(※主人公はバンドマン) そういう、等身大の若者達がお互いを認め合い、困った時には手を差し伸べ合いながら生きている姿は爽やかで、それでいて妙にせつない気分にさせられました。 『人生はきっと“人生は何だろう”って問われるために僕達に有るんじゃないのかな・・・』 というのは、作品の中に出てきたセリフですが。 「人生って何だろう」って考えるのは、“何となく生きている”時ではないんですよね。 壁にぶち当たっていたり、悲しい出来事があったり・・・そういう時に浮かぶ問いのように思います。 『それを問わずに生きていける人は、確かに幸福なんだろうけど、でも、幸福は、それを問わずに居られない気持で生きている人の毎日の中にこそ、有るんだろう』 そんなふうに、セリフは繋がれていきます。 そうであって欲しいと、私も思います。
by mistysnow
| 2005-08-09 00:55
| 本
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