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「家守綺譚」
家守綺譚
梨木 香歩 / / 新潮社
スコア選択: ★★★★★

ずっと気になっていた本が、最近文庫となって書店の一等地に並んでいたので、ようやく手に取ることになりました。
何事もタイミングが大切だけど、私にとっては「今、この時期に読むべき本」だったんだなという気がしています。

それが梨木香歩さんの「家守綺譚(いえもりきたん)」という小説。

主人公・綿貫征四郎が住むのは、学生時代に湖で消えた亡き友人の家。
その庭を訪れるのは、河童や人魚、小鬼など・・・人ならぬものが数知れず。
サルスベリが主人公に恋心を抱き、白木蓮がタツノオトシゴを孕む。
亡き友人は湖を描いた掛け軸から気まぐれに訪れ、カワウソは人の姿で釣りをする。

そこは、不思議に満ちた世界。
けれども主人公も隣のおかみさんも、それを自然に受け入れて生きている。
この世界に生きているのは人間だけではないことを、当たり前のこととして知っている。

そこに流れるゆったりとした時間の中で、じんわりと温かい気持ちになりました。
印象的なシーンや言葉もいくつかあって。折に触れ読み返したい、大切な本になりそうです。
by mistysnow | 2007-01-20 00:49 |
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