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「新解さんの謎」
「新解さんの謎」を読了。
赤瀬川原平さんの飄々とした文章は好きなのですが、これもイイ味出てました。
ただ辞書の語句を引っ張り出して、それにコメントをしているだけなのに、めちゃめちゃ面白い。

タイトルの「新解さん」というのは、三省堂の「新明解国語辞典」のことです。
・・・と言うより、新明解国語辞典を編纂した中心人物、かな?

んー、ちょっと違うなー。

「語句の説明や注釈、用例などからにじみ出てくる、何とも言えぬ愛すべき存在感」・・・とか。
うまく説明できませんが、本を読み進めるうちに「新解さん」という存在が現れてくるわけです。それは特定の人物というよりも、むしろ架空の存在。

赤瀬川さんとSM嬢(イニシャルなだけで、そういう人ではないそうです。笑)の目の付け所が面白い上に読ませ方が巧みだから、普通ならさらっと読み流してしまうところまで可笑しくなってしまうのでした。
「新明解」が変わった辞書だとは知っていましたが、こんなにも愛すべき存在だったとは(笑)。

本の後半は、「紙がみの消息」というエッセイ集。
こちらは、浪費されていく「紙」について、風刺を交えながら語ったものになってます。
ときどき出てくる鉛筆の話や手帳の話なども面白かったです。

解説の代わりに収録されている、巻末の豊崎由美さんと岡野宏文さんによる対談「原平さんの謎」も面白くて、最後まで読み応えありでした。

我々世代は知らない人の方が多いと思うんですが、赤瀬川さんって千円札を精密に模写して通貨偽造罪に問われたことがあるそうですよ。出来ることなら、その模写を見てみたい(笑)。
尾辻克彦名義で出されている小説も気になるところです。

◎「新解さんの謎」 赤瀬川原平 (文春文庫)
by mistysnow | 2006-02-02 01:00 |
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